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J. Puisaisシンポジウム(2020)


食の嗜好とウェルビーイング ―五感を通した食の喜び―

趣旨

代表的な嗜好品である茶やワインにも食品機能性が次々と報告される一方で、蛋白質である牛肉は栄養源というよりも嗜好目的で喫食されている。嗜好品と一般食品の垣根は曖昧だ。ジャック・ピュイゼ氏によると、食品はフランス語では「Nourriture」と「Aliment」と二通りの呼び方があるという。前者は「生理的に栄養を満たすために摂取するもの」である一方、後者は、「摂取することで人間の感覚を刺激し、精神を養う食べ物」という意味が内包されている。このように考えると、食への嗜好は健康・快楽・持続性という人間のウェルビーイングの三側面との関係から検討する必要がある。そこで、本シンポジウムではワイン学、味覚教育、情報工学、歴史学の観点から食とウェルビーイングについてのご講演をいただく。さらに、COVID-19の流行によって生じた食とコミュニケーションの変化と、IT技術などによるwith コロナ時代の食とウェルビーイングの可能性について議論する。
文責:和田有史
*本シンポジウムはJSPS課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業 (JSPS00117942853)の委託を受けたものです。
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味わいの発達と味覚教育

趣旨

我が国の一般的な食育では栄養学や文化・伝統などの知識を身につけることを主たる目的としている。その一方、1970年代にジャック・ピュイゼ氏を中心にフランスで広められた味覚教育は、五感による個人個人の食体験を通して、食そのものに対する態度や探求心、さらに他者と自分の共通点や相違点を見出し、それを受容する全人格的な発達を促すものであった。この試みは偏食の低減や食についての表現能力を高めるなどの効果が認められており、子どもが食べ物について積極的な関心を抱くことは、食文化の継承や発展にもつながっていくと期待している。
 本シンポジウムでは味覚教育の本質的な姿を見直し、我が国における実践がどのようになされているのかを概観する。さらに我が国における味覚教育のネットワークを構築し、味覚教育の一助となりうる新たなサービスの開発に資する。
文責:和田有史
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