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食の嗜好とウェルビーイング ―五感を通した食の喜び―(2020年8月25日)

食の嗜好とウェルビーイング ―五感を通した食の喜び―

趣旨

目的:代表的な嗜好品である茶やワインにも食品機能性が次々と報告される一方で、蛋白質である牛肉は栄養源というよりも嗜好目的で喫食されている。嗜好品と一般食品の垣根は曖昧だ。ジャック・ピュイゼ氏によると、食品はフランス語では「Nourriture」と「Aliment」と二通りの呼び方があるという。前者は「生理的に栄養を満たすために摂取するもの」である一方、後者は、「摂取することで人間の感覚を刺激し、精神を養う食べ物」という意味が内包されている。このように考えると、食への嗜好は健康・快楽・持続性という人間のウェルビーイングの三側面との関係から検討する必要がある。そこで、本シンポジウムではワイン学、味覚教育、情報工学、歴史学の観点から食とウェルビーイングについてのご講演をいただく。さらに、COVID-19の流行によって生じた食とコミュニケーションの変化と、IT技術などによるwith コロナ時代の食とウェルビーイングの可能性について議論する。
文責:和田有史

概要

主催:立命館大学食総合研究センター
共催:日本電信電話株式会社(NTT)・子どものための味覚教育研究会(IDGE)・全日本・食学会
後援:和食文化学会
*本シンポジウムはJSPS課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業 (JSPS00117942853)の委託を受けたものです。
司 会:石田雅芳・和田有史 (立命館大学)
登壇者:
ジャック ピュイゼ (田尻氏による代理講演) 味覚研究所・IDGE(子どものための味覚教育研究会) 国際醸造家連盟・国際ワインアカデミー
田尻泉 IDGE (子どものための味覚教育研究会)
石井克枝 IDGE (子どものための味覚教育研究会)・千葉大学
鎌谷かおる 立命館大学
渡邊淳司 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所
藤井直敬 株式会社ハコスコ・デジタルハリウッド大学
門上武司 株式会社ジオード
加藤謙一 京都中勢以
スケジュール:
11:00 参加者入場
11:15 司会者挨拶 (石田)
11:25  企画者趣旨説明 (和田)
11:40 講演1 ジャック ピュイゼ (田尻泉 代理発表)
   “食べものの感覚的要素とBien Être (ウェルビーイング)”
12:00 講演2 石井克枝・田尻泉
“「味わう」こととBien Être(ウェルビーイング)”
12:40 休憩
13:40 講演3 鎌谷かおる
    “人は食に何を求めるのか?
−「おもてなし」と「ごちそうさま」から考える江戸時代の食“
14:20 講演4 渡邊淳司
“触と食がつなぐウェルビーイング”
15:00 休憩
15:10 インプットトーク 藤井直敬
“食とリアリティ”
15:50 ディスカッション (石井・石田・加藤・門上・鎌谷・田尻・藤井・渡邊・和田)
16:30 閉会挨拶

問い合わせ先

和田有史(立命館大学)

ジャック・ピュイゼ(味覚研究所・IDGE(子どものための味覚教育研究会)・国際醸造家連盟・国際ワインアカデミー)
代理発表 田尻 泉(IDGE(子どものための味覚教育研究会)
“食べもの・飲みものの感覚的要素とBien Être(ウェルビーイング)”

食べもの、飲みものには栄養的要素と衛生的要素、感覚的要素、3つの要素があります。そして、Bien Être(ウエルビーイング)の実現には3つ目の要素、精神を満たす感覚的要素が欠かせません。この感覚的要素についてお話しします。また、食べもの、飲みものの感覚的要素とテロワールやワインとの関係についてもお話しします。

石井克枝 IDGE(子どものための味覚教育研究会)・千葉大学
田尻 泉 IDGE(子どものための味覚教育研究会)
“「味わう」こととBien Être(ウェルビーイング)”

Bien Être (ウェルビーイング) の実現に欠かせない食べもの・飲みものの感覚的要素は、「味わう」ことで享受することができます。この「味わう」とはどういうことかを考えます。どうすれば「味わう」ことができるのか、「味わう」ことで何が得られるのか、「味わう」ことがどのようにBien Être (ウェルビーイング)につながるのか、についてお話しします。

鎌谷かおる 立命館大学
“人は食に何を求めるのか?−「おもてなし」と「ごちそうさま」から考える江戸時代の食”

長い歴史の中で、人と食との向き合い方はどのように変化してきたのでしょうか。過去の人々は、食に何を求め、食で何を満たしてきたのでしょうか。本報告では、江戸時代の人々が、食に何を求めていたのかということを、「おもてなし」と「ごちそうさま」の観点から考えてみたいと思います。また、本報告を通じて、人と食との関係を歴史的な視点で考えることの意味を論じたいと思います。

渡邊淳司 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所
触と食がつなぐウェルビーイング

他者と直接的に触れ合うこと、他者と集まって食事を楽しむことが憚られる現在の状況において、「人との関係性の中で、意義を感じながら、いきいきと活動している状態」である持続的ウェルビーイングは、どのように実現されるだろうか。COVID-19状況下における課題や、情報通信技術による他者との新しい関わりについて考える。

インプットトーク
藤井直敬 株式会社ハコスコ・デジタルハリウッド大学 (インプットトーク)
食とリアリティ

誰かの現実は他の誰かのものでもないし共有することは出来ない。現実を繰り返すことは出来ないが、もし繰り返されても共有されていない事の繰り返しに気づけない。だが、私達は原理的に共有できない現実を共有しているように考えている。視点の違いを無視し、体験のクオリティを無視している。ならば逆に体験をそのように設計すれば、現実は再現できるし共有出来るだろう。ここでは現実操作技術と食体験の関係について考える。